行手法2条
第2条(定義) この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。 二 処分 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。 三 申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。 四 不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。 イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分 ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分 ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分 ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの 五 行政機関 次に掲げる機関をいう。 イ ロ 略 六 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。 七 届出 行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう。 八 命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。 イ 法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む。次条第二項において単に「命令」という。)又は規則 ロ 審査基準(申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。) ハ 処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。) ニ 行政指導指針(同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいう。以下同じ。) |
不利益処分について
- 不特定の者に対する処分は不利益処分にはならない
※不利益処分、行政指導等、定義は条文通り
行訴法3条
第3条(抗告訴訟) この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。 2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。 3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。 4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。 5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。 6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。 一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。 二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。 7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。 |
「処分」の意義
- 公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち(公権力性)、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているもの(直接・具体的法効果性)
「公定力」の意義
- 公定力とは、行政行為が違法であっても、取消権限のある機関によって取り消されるまで、何人もその行為を否定することはできない効力のこと
- 行政関係の安定性と国民の信頼保護のためのもの
「無効」の意義
- 公定力を否定するには①瑕疵が重大で救済の必要性が高い②瑕疵が明白が必要
「一定の処分」の意義
- 裁判所の判断が可能な程度に特定されていればよい
「されようとしている」の意義
- 処分の処分性を前提として、一定の処分がされる蓋然性が必要
行訴法9条
第9条(原告適格) 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。 2 略 |
「法律上の利益を有する者」の意義
- 「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者
- 法律上保護された利益とは、不特定多数者の具体的利益が一般的公益に吸収解消されず、個々人の個別的利益として保護されるような利益
行訴法36条
第36条(無効等確認の訴えの原告適格) 無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。 |
「現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができない」の意義
- 国民の権利保護の見地から、予防的無効確認訴訟の認められる範囲は広く、補充性要件の制約を受けない
行訴法37条の2
第37条の2(義務付けの訴えの要件等) 第三条第六項第一号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。 2〜5 略 |
「他に適当な方法」の意義
- 「他に適当な方法」とは、法が義務付けの訴えに代替する特別の救済ルートを定めている場合
行訴法37条の4
第37条の4(差止めの訴えの要件) 差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。 2〜5 略 |
「重大な損害」の意義
- 処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分がされた後に容易に救済を受けることができるものではなく、処分される前に差止めを命ずる方法によらなければ救済を受けることが困難なもの
国賠法1条
第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。 ② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。 |
「公権力の行使」の意義
- 権力的行政作用に限らず、営造物の設置管理作用、私経済活動を除く全ての行政活動
「職務を行うについて」の意義
- 加害行為が客観的に職務行為の外形を備えるもの
- 公務員個人の主観的意図は不問
「違法」の意義
- 職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったこと
国賠法2条
第2条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。 ② 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。 |
「公の営造物」の意義
- 行政主体によって、直接公の目的に供用される有体物又は物的設備のこと
「瑕疵」の意義
- 営造物が通常有すべき安全性を欠き、他人に危害を及ぼす危険性のある状態
- 営造物の構造、用法、環境、利用状況等の事情が考慮される