第三十七条(緊急避難) 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。 2前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。 |
論証カード
緊急避難について
- 重要な利益を保護するための社会的に相当な行為であるとして、違法性阻却事由の一つと考えるべき
「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産」の意義
- 例示列挙であり、名誉・貞操など個人的法益も含む(通説)
「現在」の意義
- 法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていること(正当防衛の「急迫」と同様)
「危難」の意義
- 法益の侵害又は侵害の危険のある状態(ゴロ:シンシン危険)
「避けるため」の意義(避難の意思:正当防衛における防衛の意思と同様に争いがある)
- 現在の危難の認識と危難に対応する意思があれば足りる【危難認識、危難対応意思】(ゴロ:忍耐意思)
- 避難の意思と攻撃の意思とが併存している場合の行為は、必ずしも避難の意思を欠くものではないと解する
「やむを得ずにした」の意義
- 現在の危難を避けるために他に方法がない場合に限られる【補充性の原則】(ゴロ:ヤムチャ、補充)
「これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えな」いこと
- 侵害法益が保全法益の程度を超えないことが必要【法益均衡の原則】