予備試験過去問(短答)

令和4年度 司法試験予備試験過去問題・解答(短答式_刑事訴訟法)

第14問

次のアからオまでの各記述のうち、司法警察員と検察官のいずれもがなし得るものとして、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No20])

ア.緊急逮捕後の逮捕状の請求
イ.被疑者の勾留の請求
ウ.第1回公判期日前の証人尋問の請求
エ.鑑定処分許可の請求
オ.捜索差押許可状の請求

1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ


正解:3

ポイント

イ:被疑者の勾留請求は、検察官のみができる

ウ:第1回公判期日前の証人尋問の請求は、検察官のみができる

第15問

勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄は、[No21])

ア.裁判官は、検察官から勾留の請求を受けた被疑者について勾留の裁判をするに当たり、被疑者が逃亡した場合を除き、被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない。

イ.裁判官は、検察官から勾留期間の延長の請求を受けた被疑者について勾留期間の延長の裁判をするに当たり、被疑者が逃亡した場合を除き、被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない。

ウ.裁判官は、勾留されている被疑者がその被疑事実と同一の事実で公訴を提起された場合において、その勾留を継続する必要があると認めるときは、被告人が逃亡した場合を除き、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない。

エ.裁判所は、勾留されていない被告人について勾留の裁判をするに当たり、既に被告事件の審理の際に被告人から被告事件に関する陳述を聴いている場合には、改めて被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行う必要はない。

オ.裁判所は、勾留期間の更新の裁判をするに当たり、被告人が逃亡した場合を除き、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ


正解:2

ポイント

イ:裁判官は、検察官の請求により勾留延長をすることができる→×

ウ:被疑事実と同一の事実で公訴提起された場合、特別の手続きなしに被告人勾留が開始される→×

オ:勾留更新の裁判にあたって、改めて勾留質問を行わなければならないとする規定はない→×

第16問

体液等の採取に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄は、[No22])

ア.強制採尿のための捜索差押許可状には、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件を記載することが望ましいが、かかる記載は不可欠ではない。

イ.身体を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、強制採尿のための捜索差押許可状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができる。

ウ.尿を任意に提出しない被疑者の体内からカテーテルを用いて強制的に尿を採取することは、被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、捜査上真にやむを得ないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を経て行うことが許される。

エ.警察官が強盗殺人事件の捜査において、捜索差押許可状の発付を受けることなく、被疑者が不要物として公道上のゴミ集積所に排出したゴミ袋を領置することは、違法ではない。

オ.被疑者の唾液を採取する場合は、被疑者がこれを任意に提出することを承諾したとしても、唾液に含まれる口腔内細胞は遺伝情報を含むから、身体検査令状の発付を受けることなく、これを採取することはできない。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ


正解:2

ポイント

ア:医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠→×

オ:唾液の採取に関して、任意提出は適法→×

第17問

鑑定に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No23])

ア.鑑定人には、鑑定をする前に、宣誓をさせなければならない。

イ.鑑定人は、鑑定について必要がある場合には、裁判所の許可を受けずに死体を解剖することができる。

ウ.裁判所は、被告人の心神に関する鑑定をさせるについて必要があるときは、期間を定め、被告人を病院に留置することができるが、その期間を延長することはできない。

エ.裁判所は、鑑定人に鑑定を命ずるに当たって行う尋問において、鑑定人が正当な理由がなく召喚に応じないときは、その鑑定人を勾引することができる。

オ.裁判所は、鑑定人に対し、鑑定の経過及び結果を口頭で報告させることができる。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ


正解:2

ポイント

イ:鑑定人は鑑定に必要な処分の際には、裁判所の許可が必要→×

ウ:必要があるときは、留置期間の延長も可能→×

エ:正当な理由がなく召喚に応じないときであっても勾引することができない→×

第18問

次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄は、[No24])

ア.身体の拘束を受けている被疑者に、取調べのために出頭し滞留する義務があると解することは、直ちに被疑者からその意思に反して供述することを拒否する自由を奪うことを意味するものではない。

イ.被告人が自らの氏名を一貫して明らかにせず、刑事施設の居室番号の自署、拇印等により自己を表示し、弁護人が署名押印した弁護人選任届を提出した場合にも、被告人には自らの氏名を開示する義務はないので、その選任届が不適法として却下されることはない。

ウ.捜査機関は、犯罪の被害者を参考人として取り調べるに当たり、あらかじめ自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。

エ.被告事件を審理する裁判所の裁判長は、冒頭手続において起訴状の朗読が終わった後、被告人に対し、終始沈黙し又個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨のほか、陳述することもできる旨及び陳述をすれば自己に不利益な証拠ともなり又利益な証拠ともなるべき旨を告げなければならない。

オ.証人は、自己が刑事訴追を受けるおそれのある証言を拒むに当たり、その事由を示す必要はない。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ


正解:2

ポイント

イ:氏名に黙秘権は及ばない→×

ウ:この場合、黙秘権の告知の必要はない→×

オ:証言を拒む者はその事由を示さなければならない→×

第19問

弁護人の権限に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No25])

ア.弁護人は、身体の拘束を受けている被疑者と立会人なくして接見することができるが、接見禁止決定がされている場合は、被疑者と接見できない。

イ.弁護人は、勾留されている被疑者の勾留の期間を延長する裁判に対して、準抗告をすることができる。

ウ.公判前整理手続に付された事件において、弁護人は、検察官が取調べを請求した証拠の開示を受けた後、検察官に対し、検察官が保管する証拠の一覧表の交付を請求する権利を有する。

エ.検察官が取調べを請求した証拠について、これを証拠とすることに同意するのは、弁護人のみが有する権利である。

オ.第一審で有罪の判決を受けた被告人の弁護人は、改めて弁護人に選任されなければ控訴をすることができない。

1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ


正解:3

ポイント

ア:接見禁止決定は弁護人の接見を禁止するものではない→×

エ:被告人と弁護人の権利→×

オ:改めて弁護人に選任されずとも控訴は可能→×

第20問

次の【事例】における公訴時効について述べた後記アからオまでの【記述】のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄は、[No26])

【事例】
甲及び乙は、令和3年1月5日、V方に侵入してVに暴行を加える旨の共謀を遂げ、同日夜、V方に侵入し、同月6日未明、帰宅したVに対して暴行を加え、傷害を負わせた。

【記述】

ア.住居侵入罪の公訴時効は令和3年1月5日から進行する。

イ.検察官が甲及び乙を傷害の事実により起訴した場合、住居侵入罪の公訴時効は停止しない。

ウ.検察官が乙との共謀による住居侵入、傷害の事実により甲を起訴した場合、乙についても、公訴時効が停止する。

エ.検察官が甲及び乙を起訴したが、両名のいずれに対しても所定の期間内に起訴状の謄本が送達されず、公訴が棄却された場合、公訴提起の効力が遡って失われることから、公訴時効は停止しなかったことになる。

オ.甲及び乙が犯行後に海外に渡航していた場合、一時的な渡航であっても、その間、公訴時効は停止する。

1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ


正解:4

ポイント

ア:公訴時効は「犯罪行為が終わった時(253条1項)」から進行する→×

イ:公訴時効停止の効力は「公訴事実を同一にする範囲」に及ぶ(最決昭56.7.14)→×

ウ:共犯者の1人に対してした公訴の提起による公訴時効の停止は他の共犯に対して効力を有する→○

第21問

公判前整理手続に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No27])

ア.検察官、被告人又は弁護人が事件を公判前整理手続に付することを求めたが、裁判所がその請求を却下する決定をした場合には、その検察官、被告人又は弁護人は、その却下決定に対して即時抗告をすることができる。

イ.被告人は、公判前整理手続期日に出頭する義務はなく、裁判所が被告人に対し、公判前整理手続期日に出頭することを求めることもできない。

ウ.裁判所は、裁判員裁判の対象事件については、第1回の公判期日前に、これを公判前整理手続に付さなければならない。

エ.公判前整理手続において、被告人又は弁護人は、証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張があるときは、裁判所及び検察官に対し、これを明らかにしなければならない。

オ.公判前整理手続に付された事件については、検察官及び被告人又は弁護人は、やむを得ない事由によって公判前整理手続において請求することができなかったものを除き、当該公判前整理手続が終わった後には、証拠調べを請求することができない。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ


正解:1

ポイント

ア:公判前整理手続において即時抗告はできない→×

イ:公判前整理手続の出頭義務はないが、裁判所が被告人に対して出頭を求めることは可能→×

第22問

証人等の保護に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No28])

ア.裁判所は、弁護人が出頭している法廷で証人を尋問する場合において、証人が被告人の面前においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、証人と被告人の間の遮へい措置又はビデオリンク方式が採られている場合を除き、検察官及び弁護人の意見を聴き、その証人の供述中被告人を退廷させることができる。

イ.裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の供述中、証人に付き添わせることができる。

ウ.裁判所は、被害者等が意見陳述をする場合において、被害者等の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、被害者等が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被害者等の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、被害者等の意見陳述中、被害者等に付き添わせることができる。

エ.被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定があったときは、検察官は、被害者特定事項を明らかにしない方法で起訴状の朗読を行い、起訴状を被告人に示さなければならない。

オ.裁判所は、被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることはできるが、証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人に係る特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることはできない。

1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ


正解:2

ポイント

ア:遮へい措置又はビデオリンク方式の場合の退廷措置も可能→×

オ:証人等の秘匿決定も可能→×

第23問

次のI及びIIの【見解】は、人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律第5条の推定規定の意味に関するものである。【見解】に関する後記アからオまでの【記述】のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No29])

【見解】

I.本条は、被告人が、公衆の生命又は身体の危険が、被告人の排出した物質によって生じたものでないことを立証できない場合には、裁判所が、その危険は、被告人の排出した物質によって生じたものと認定しなければならないことを定めたものである。

II.本条は、被告人が、公衆の生命又は身体の危険が、被告人の排出した物質によって生じたものでないことを立証できない場合には、裁判所が、その危険は、被告人の排出した物質によって生じたものと認定することができることを定めたものである。

【記述】

ア.Iの見解は、本条は、物質の排出と公衆の生命又は身体の危険の発生との因果関係につき、被告人に挙証責任を転換する規定であるとするものである。

イ.Iの見解は、被告人は、自らが排出した物質によって公衆の生命又は身体の危険が生じたものではないことを、合理的な疑いを超える程度に立証しなければならないとするものである。

ウ.IIの見解によれば、被告人が、自らが排出した物質によって公衆の生命又は身体の危険が生じたものではないことを立証できなかった場合に、その危険が被告人の排出した物質によって生じたものと認定するかどうかは、裁判所の裁量に委ねられることになる。

エ.IIの見解に対しては、それによると、本条は「疑わしきは被告人の利益に」の原則に反することになるとする批判がある。

オ.IIの見解は、本条は、被告人が、自らが排出した物質によって公衆の生命又は身体の危険が生じていないという立証ができないことを、一つの情況証拠とすることを認める規定であるとするものである。

1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ

(参照条文)人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律
第5条 工場又は事業場における事業活動に伴い、当該排出のみによつても公衆の生命又は身体に危険が生じうる程度に人の健康を害する物質を排出した者がある場合において、その排出によりそのような危険が生じうる地域内に同種の物質による公衆の生命又は身体の危険が生じているときは、その危険は、その者の排出した物質によつて生じたものと推定する。


正解:2

ポイント

「Iの見解は、義務的推定説」「IIの見解は、許容的推定説」である。

イ:被告人の立証の程度に言及するものではない→×

ウ:裁判所の裁量に委ねられるわけではない→×

エ:利益原則と抵触するものではない→×

第24問

違法収集証拠排除法則に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものには1を、誤っているものには2を選びなさい。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄は、アからオの順に[No30]から[No34])

ア.違法に収集された証拠物の証拠能力については、刑事訴訟法に何らの規定も置かれていないので、この問題は、刑事訴訟法の解釈ではなく、憲法の解釈に委ねられている。[No30]

イ.違法収集証拠排除法則の目的は、法の適正な手続を保障し司法の廉潔さを保持することであって、将来における違法捜査を抑制することではない。[No31]

ウ.違法に収集された証拠物の証拠能力が否定されるかの判断に当たって、捜査の違法の程度は考慮されるが、当該証拠の重要性は考慮されない。[No32]

エ.違法に収集された証拠物の証拠能力が否定されるかの判断に当たって、捜査機関が当該証拠の押収までに行ったことは考慮されるが、押収後に行ったことが考慮されることはない。[No 33]

オ.違法な逮捕に引き続く身体拘束中に覚醒剤使用の証拠となる尿を被疑者が任意提出した場合、逮捕が覚醒剤使用ではなく窃盗を理由とするものであれば、尿の証拠能力は否定されない。[No 34]


正解:2、2、2、2、2

ポイント

ア:判例より「刑訴法の解釈に委ねられている」とある→×

イ:将来の違法捜査の抑制の意味合いも含まれる→×

ウ:証拠の重要性も考慮して判断されている→×

エ:押収後に行ったことが考慮されることはないとはいえない→×

オ:このような場合、尿の証拠能力は否定される→×

第25問

次のIないしIIIの【見解】は、刑事訴訟法第319条第1項で任意にされたものでない疑いのある自白を証拠とすることができないと定められている根拠に関するものである。【見解】に関する後記アからオまでの【記述】のうち、正しいものには1を、誤っているものには2を選びなさい。(解答欄は、アからオの順に[No35]から[No39])

【見解】

I.任意にされたものでない疑いのある自白は、その内容が虚偽であるおそれがあり、誤判防止のため排除されるべきとする見解

II.任意にされたものでない疑いのある自白は、黙秘権を保障するため排除されるべきとする見解

III.任意にされたものでない疑いのある自白は、違法な手続により得られた結果として排除されるべきとする見解

【記述】

ア.Iの見解に対しては、自白の内容が真実と認められれば、証拠として許容されることになるのではないかとの批判がある。[No35]

イ.IIの見解に対しては、供述者の主観的な心理状態に関する事実認定が困難であるという批判がある。[No36]

ウ.IIIの見解に対しては、違法な手続により得られた自白の全てが任意にされたものでない疑いがあるとはいえないから、そのような自白が全て刑事訴訟法第319条第1項により排除されるとするのであれば、規定の文言上無理があるという批判がある。[No37]

エ.IとIIの見解によれば、強制等による自白や不当に長く抑留又は拘禁された後の自白を不任意自白の例示とみることができる。[No38]

オ.IIIの見解によると、被告人側から取調官側に視点を移して、自白獲得手段自体の違法性に着目することになり、刑事訴訟法第319条第1項が「強制、拷問又は脅迫」、「不当に長く抑留又は拘禁」などと、自白獲得の手段を列挙していることにも合致すると主張することができる。 [No39]


正解:1、1、1、1、1

ポイント

Iの見解は虚偽排除説、IIの見解は人権擁護説、IIIの見解は違法排除説である。

第26問

自白の補強証拠に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄は、[No40])

ア.補強証拠は、自白に係る犯罪組成事実の全部にわたって、もれなく、これを裏付けするようなものでなければならないわけではなく、自白に係る事実の真実性を保障し得るものであれば足りる。

イ.無免許運転の罪においては、運転行為のみならず、運転免許を受けていなかったという事実についても、被告人の自白のほかに、補強証拠が必要である。

ウ.自白以外の補強証拠によって、既に犯罪の客観的事実が認められ得る場合においては、犯意や知情といった犯罪の主観面について、自白が唯一の証拠であっても差し支えない。

エ.自白以外の補強証拠によって、犯罪が架空のものではなく、現実に行われたものであることが証明される場合においても、被告人の自白した犯罪が被告人によって行われたという、犯罪と被告人との結び付きについては、補強証拠が必要である。

オ.補強証拠の証明力については、自白と補強証拠とが相まって犯罪構成要件たる事実を総体的に認定することができればそれで足り、補強証拠だけでその事実を立証できる程度の証明力までは必要ない。

1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個


正解:2

ポイント

エ:判例によれば「自白の補強証拠は犯罪が現実に行われたものと証明するものであれば足りる」とされている→×

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