第1問
未成年者に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.1])
ア.未成年者が子を認知した場合、その未成年者の親権者は、認知を取り消すことができない。
イ.営業を許された未成年者がした法律行為は、その営業に関しないものであっても、取り消すことができない。
ウ.親権者の同意を得ずに契約を締結した未成年者は、成年に達するまでは、親権者の同意を得なければ、自らその契約を取り消すことができない。
エ.親権者の同意を得ずに契約を締結した未成年者は、成年に達するまでは、親権者の同意を得なければ、自らその契約の追認をすることができない。
オ.未成年者が、親権者の同意があると誤信させるために詐術を用いて契約を締結した場合、その契約は取り消すことができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
正解:2
ポイント
ア:780条より→○
イ:5、6条より→×
ウ:未成年者自身も取消権者であるため→×
エ:124条より→○
オ:21条より→×
第2問
取消しに関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.2])
ア.取り消すことができる法律行為に基づく債務を保証した者は、その法律行為を取り消すことができない。
イ.被保佐人Aがした法律行為を法定代理人が追認したときは、Aは、以後、その法律行為を取り消すことができない。
ウ.Aが第三者Bの詐欺によってCに不動産を売る旨の意思表示をしたときは、その取消しは、B及びCの双方に対する意思表示によってする。
エ.被保佐人Aがした金銭の借入れが取り消された場合、Aは、それまでに借入金を賭博で費消していたときでも、借入金全額を貸主に返還する義務を負う。
オ.取消権は、取り消すことができる行為をした時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
正解:1
ポイント
ア:120条(取消権者)より→○
イ:122条(取り消すことができる行為の追認)より→○
ウ:123条(取消し及び追認の方法)より「相手方への意思表示」で足りるため→×
エ:121条の2(原状回復の義務)より「現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う」とあるため→×
オ:126条(取消権の期間の制限)より→×
第3問
動産の引渡しに関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.3])
ア.Aがその所有する絵画甲をBに預けたままCに売却した場合において、AがBに対して以後Cのために甲を占有すべきことを命じ、Bがこれを承諾したときは、Cは、甲の所有権の取得を第三者に対抗することができる。
イ.Aはその所有する登録済みの自動車甲をBに売却して現実に引き渡したが、登録名義はAのままであった。その後、Aが甲をCに売却し、登録名義をCに移転した場合、Bは、甲の所有権の取得をCに対抗することができる。
ウ.Aは、その所有する絵画甲をBに売却したが、甲の占有を継続し、以後Bのために占有する意思を表示した。その後、AはBへの売却の事実を知っているCに甲を売却し、現実に引き渡した。この場合、Cは、甲の所有権の取得をBに対抗することができる。
エ.Aはその所有する絵画甲をBに預けていたが、Bは、Aに無断で、Bが甲の所有者であると過失なく信じているCに甲を売却した。Bは甲の占有を継続し、以後Cのために占有する意思を表示した。その後AがBから甲の返還を受けた場合、CはAに対し、所有権に基づいて甲の引渡しを請求することができない。
オ.Aからその所有する絵画甲を預かり占有していたBが、Aから甲を購入した場合において、占有をBに移転する旨の意思表示がAB間でされたときは、Bは、甲の所有権の取得を第三者に対抗することができる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
正解:5
ポイント
ア:184条(指図による占有移転)より→×
イ:178条(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)が原則であるが、登記・登録などの公示制度がある場合、登記・登録が物権変動の対抗要件となるため→×
ウ:183条(占有改定)より→×
エ:Cは占有改定(183)による引渡しを受けるも判例によれば、このようなケースで即時取得(192)は成立しないため→○
オ:182条2項(簡易の引渡し)より→○
第4問
A、B及びCが甲土地を各3分の1の割合で共有している場合に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。 (解答欄は、[No.4])
ア.甲土地がDによって不法に占有されている場合には、Aは、Dに対し、甲土地の不法占有によりA、B及びCが被った損害の全部の賠償を請求することができる。
イ.AがB及びCの同意を得ずに農地である甲土地の宅地造成工事を完了した場合には、原状回復ができるときであっても、Bは、甲土地の原状回復を請求することができない。
ウ.AがBに対する甲土地の管理費用の支払義務を履行しないまま1年が経過したときは、Bは、相当の償金を支払ってAの持分を取得することができる。
エ.甲土地について現物分割の方法により共有物の分割をした場合には、Aは、その分割によってA所有とされた部分につき、単独所有権を原始取得する。
オ.AがBに対して甲土地の管理費用の支払請求権を有するときは、現物分割の方法により甲土地につき共有物の分割をするに際し、Bに帰属すべき部分をもって、その弁済に充てることができる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ
正解:5
ポイント
ア:判例では「割合を超えて請求することは許されない」(最判昭51.9.7)とある→×
イ:判例では「一部の共有者が無断で共有物を変更している場合、原状回復を請求できる」(最判平10.3.24)とある→×
ウ:253条(共有物に関する負担)より→○
エ:261条(分割における共有者の担保責任)より→×
オ:259条(共有に関する債権の弁済)より→○
第5問
地上権に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.5])
ア.地上権は、質権の目的とすることができない。
イ.地上権者は、その権利の存続期間の範囲内であっても、土地の所有者の承諾を得なければ、第三者にその土地を賃貸することができない。
ウ.建物を所有する目的で地上権が設定されている土地には、地下又は空間を目的とする地上権は、設定することができない。
エ.地上権は、存続期間を定めずに設定することができる。
オ.地上権者が地代を支払う義務のない地上権も、設定することができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
正解:5
ポイント
ア:362条(権利質の目的等)にある財産権の中に地上権も含まれるため→×
イ:地上権の移転・処分は地上権者が自由にできると解されているため→×
ウ:269条の2 2項(地下又は空間を目的とする地上権)前段より→×
エ:268条(地上権の存続期間)より→○
オ:265条(地上権の内容)より→○
第6問
留置権に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.6])
ア.AがBの所有する甲建物を権原がないことを知りながら占有を開始した場合であっても、その後にAが甲に関して生じた債権を取得したときは、Aは、その債権の弁済を受けるまで、甲を留置することができる。
イ.Aは、その所有する動産甲をBに売り、Bは甲をCに転売したが、Aが甲の占有を続けている。この場合において、Aは、Cからの引渡請求に対し、Bから代金が支払われるまで、甲について留置権を行使することができる。
ウ.留置権者は、留置物の滅失によって債務者が受けるべき保険金請求権に対しても、これを差し押さえることにより留置権を行使することができる。
エ.留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を賃貸した場合であっても、その賃貸が終了して留置権者が留置物の返還を受けていたときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができない。
オ.留置権者が留置物の占有を奪われたとしても、占有回収の訴えによってその物の占有を回復すれば、留置権は消滅しない。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ
正解:4
ポイント
ア:295条2項「占有が不法行為によって始まった場合」にあたるため→×
イ:判例では「留置権が一旦成立した後には、その物の譲受人に対しても留置権を主張することができる」(最判昭47.11.16)ため→○
ウ:留置権には物上代位権が認められていないため→×
エ:298条(留置権者による留置物の保管等)より→×
オ:203条(占有権の消滅事由)より→○
第7問
AのBに対する貸金債権甲を被担保債権とし、BのCに対する貸金債権乙を目的とする質権がBにより設定され、BがCに対して口頭でその旨の通知をした。この場合に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.7])
ア.Cは、Bから質権設定の通知を受けるまでにBに対して債権乙に係る債務を弁済していた場合であっても、これをもってAに対抗することができない。
イ.債権譲渡登記ファイルに質権の設定の登記がされたときは、Aは、C以外の第三者に対して質権の設定を対抗することができる。
ウ.Aは、債権甲及び債権乙が共に弁済期にあるときは、債権甲の金額の範囲内でCから債権乙を直接取り立てることができる。
エ.債権甲の弁済期より前に債権乙の弁済期が到来したときは、Aは、Cにその弁済をすべき金額を供託させることができる。
オ.Aの債権質の効力は、債権乙に係る利息には及ばない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
正解:2
ポイント
ア:468条1項「債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる」→×
イ:質権の設定登記は、第三者に対して質権の設定を対抗することができる→○
ウ:366条(質権者による債権の取立て等)より→○
エ:366条(質権者による債権の取立て等)より→○
オ:297条より債権質の効力は利息債権にも及ぶため→×
第8問
特定物の売買の売主が目的物の引渡債務について履行の提供をした場合に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.8])
ア.買主が目的物の受領を拒み、その後に売主が買主に対して売買代金の支払を請求した場合、買主は、売主が履行の提供を継続し、又は改めて履行の提供をしなければ、同時履行の抗弁権を主張して売買代金の支払を拒むことができる。
イ.買主が目的物を受領することができない場合、売主は、履行の提供をした時から引渡しが完了するまで、契約及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、目的物を保存しなければならない。
ウ.買主が目的物を受領することができない場合、売主が目的物の保管を続けるために必要となる費用は、買主が負担しなければならない。
エ.買主が目的物を受領することができない場合、売主は、履行の提供をした時から、目的物の引渡債務につき遅滞の責任を免れる。
オ.買主が目的物の受領を拒み、その後に、売主及び買主の双方の責めに帰することができない事由により目的物が滅失した場合、買主は契約を解除することができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
正解:4
ポイント
ア:判例では「双務契約の一方当事者は相手方の履行の提供があっても、提供が継続されない限り同時履行の抗弁権を失うものではない」とあるため→○
イ:受領遅滞により債務者の善管注意義務は、自己の財産と同一の注意義務へ軽減されるため→×
ウ:履行費用の増加分は債権者の負担である→○
エ:弁済の提供時から債務不履行責任を免れる(492条)→○
オ:543条より「契約を解除することができない」→×
第9問
AのBに対する売買代金債権甲に譲渡禁止の特約がある場合に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。 (解答欄は、[No.9])
ア.Aが将来発生すべき債権甲をCに譲渡し、Bに対してその通知をした後、AB間で債権甲につき譲渡禁止の特約をし、その後債権甲が発生した。この場合には、Bは、Cに対し、Cがその特約の存在を知っていたものとみなして、債務の履行を拒むことができる。
イ.Cが譲渡禁止の特約の存在を知りながら債権甲を譲り受けた場合において、CがBに対して相当の期間を定めてCへの履行の催告をしたが、その期間内に履行がないときは、Bは、Cに対し、譲渡禁止を理由として債務の履行を拒むことができない。
ウ.Cが譲渡禁止の特約の存在を知りながら債権甲を譲り受け、その後Dにこれを譲渡した場合において、Dがその特約の存在について善意無重過失であったときは、Bは、Dに対し、譲渡禁止を理由として債務の履行を拒むことができない。
エ.債権甲が譲渡された場合には、Bは、債権甲の全額に相当する金銭を供託することができる。
オ.Cが、譲渡禁止の特約の存在を知りながら債権甲を譲り受けた場合において、Cの債権者D が債権甲に対する強制執行をしたときは、Bは、Dに対し、譲渡禁止を理由として債務の履行を拒むことができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
正解:4
ポイント
ア:466条の6(将来債権の譲渡性)より→×
イ:466条(債権の譲渡性)→×
ウ:判例では「悪意の譲受人から債権を譲り受けた転得者が譲渡禁止特約について善意であった場合、債務者は転得者に対して、譲渡禁止特約を対抗することができない」とある→○
エ:債権を債務の履行地の供託所に供託することができる(466条の2)→○
オ:466条の4(譲渡制限の意思表示がされた債権の差押え)→×
第10問
AとBは、AがBに絵画甲を代金50万円で売り、Bがその代金全額をCに支払う旨の契約を締結した。この場合に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.10])
ア.Cは、Bに対して受益の意思を表示した後は、Bに対して直接に50万円の支払を請求する権利を有する。
イ.AB間の契約は、その締結時においてCが胎児であったときには、無効である。
ウ.AとBは、CがBに対して受益の意思を表示するまでは、合意により代金額を変更することができる。
エ.CがBに対して受益の意思を表示した後は、BがCに対して50万円の支払をしない場合であっても、Aは、Cの承諾を得なければ、Bとの契約を解除することができない。
オ.CがBに対して受益の意思を表示した後は、AがBに甲を引き渡していない場合であっても、Bは、Cからの50万円の支払請求を拒むことができない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
正解:4
ポイント
ア:537条1項より→○
イ:537条2項「契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない」→×
ウ:538条1項より→○
エ:538条2項より→○
オ:539条「537条1項の契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる」→×
第11問
契約の解除等に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.11])
ア.期間の定めのない使用貸借契約が締結された場合において、使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約を解除することができる。
イ.期間の定めのない動産賃貸借契約の賃貸人は、いつでも解約の申入れをすることができる。
ウ.請負人は、仕事の完成前であれば、いつでも損害を賠償して請負契約を解除することができる。
エ.期間の定めのある有償の委任契約の受任者は、期間の満了前に契約を解除することができる。
オ.無償の寄託契約が書面によって締結された場合、受寄者は、寄託物を受け取るまでは契約を解除することができる。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
正解:4
ポイント
ア:598条2項「当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる」→○
イ:617条「当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」→○
ウ:641条「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」→×
エ:651条「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」→○
オ:657条の2第2項「無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない」→×
第12問
AがBからその所有する甲建物を賃借してBに敷金を交付した場合に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.12])
ア.Bは、Aが賃料を支払わない場合、未払賃料額が敷金額の範囲内であっても、Aが甲建物に備え付けた動産について先取特権を行使することができる。
イ.Aは、賃貸借契約の存続中、Bに対して、賃料債務の弁済に敷金を充てるよう請求することができる。
ウ.Aは、賃貸借契約が終了したときは、敷金が返還されるまで甲建物を留置することができる。
エ.Aが賃借権をCに適法に譲渡したときは、AはBに対して敷金の返還を請求することができる。
オ.BがCに甲建物を譲渡し、Cが賃貸人たる地位を承継した場合において、AがBに対して賃貸借契約上の未履行の債務を負担していたときは、敷金はその債務の弁済に充当され、残額があれば、その返還に係る債務がCに承継される。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
正解:5
ポイント
ア:316条「賃貸人は、622条の2第1項に規定する敷金を受け取っている場合には、その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有する」→×
イ:622条の2第2項「賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない」→×
ウ:判例では「いまだ発生していない敷金返還請求権を被担保債権として甲建物を留置することはできない」(最判昭48.2.2)→×
エ:622条の2第1項2号「賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき」に敷金返還請求権が発生する→○
オ:判例では「旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料債務があれば弁済に充当され、残額についてのみ新賃貸人に承継される」(最判昭44.7.17)→○
第13問
事務管理に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.13])
ア.管理者は、事務の管理をするにつき自己に過失なく損害を受けたときでも、本人に対し、その賠償を請求することができない。
イ.事務管理の開始後に、その管理が本人の意思に反することが明らかになった場合、管理者は、本人に対し、既に支出した費用の償還を請求することができない。
ウ.管理者が本人の名でした法律行為の効果は、事務管理の効果として直接本人に帰属する。
エ.管理者は、その事務が終了した後、本人に対し、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
オ.管理者は、本人の財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした場合には、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
正解:3
ポイント
ア:管理者は事務管理で損害を被ったとしても本人に賠償請求することができない→○
イ:702条1項「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる」→×
ウ:判例では「事務管理は管理者と本人間の法律関係で、管理者と第三者間の法律行為の効果は別問題」(最判昭36.11.30)→×
エ:701条は、645条「遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない」を準用している→○
オ:698条「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない」→○
第14問
養子に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.14])
ア.Aが、夫Bとその前妻との間の子Cの直系卑属である未成年者Dを養子とするためには、Bとともに養子縁組をすることを要しない。
イ.養子が15歳未満であるときは、協議上の離縁は、養子の離縁後にその法定代理人となるべき者と養親との協議によってする。
ウ.養子縁組後に生まれた養子の子と養親との親族関係は、離縁により終了する。
エ.養子は、養親と離縁しない限り、他の者の養子となることはできない。
オ.嫡出でない子が養子となる特別養子縁組を成立させるためには、その子を認知した父の同意を要しない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
正解:3
ポイント
ア:795条「配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない」→×
イ:811条2項「養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする」→○
ウ:729条「養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する」→○
エ:民法では転縁組を禁止していない→×
オ:817条の6「特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない」→×
第15問
遺言に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.15])
ア.被保佐人は、保佐人の同意を得ずに遺言をすることができる。
イ.遺言者は、遺産の分割の方法を定めることを第三者に委託する旨の遺言をすることができる。
ウ.被後見人が、後見の計算の終了前に、法人である後見人の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効である。
エ.共同相続人の一人の相続分を定める遺言は、他の共同相続人の遺留分を侵害しない範囲でのみ効力を生じる。
オ.遺言者は、任意の方式で遺言を撤回することができる。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
正解:5
ポイント
ア:962条「13条(保佐人の同意を要する行為)の規定は、遺言については、適用しない」→○
イ:908条「被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託することができる」→○
ウ:966条1項「被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効」→○
エ:1046条1項「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」→×
オ:1022条「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる」→×