予備試験過去問(短答)

令和5年度 司法試験予備試験過去問題・解答(短答式_行政法)

第13問

行政行為の効力の消滅に関する次のアからウまでの各記述について、法令又は最高裁判所の判例に照らし、正しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No25])

ア.処分庁は、自らした行政処分に当該処分成立時から取り消し得べき瑕疵があったことが取消訴訟の出訴期間経過後に判明し、当該処分が訴訟手続によって取り消される余地がなくなった場合でも、当該処分を自ら取り消すことができる。
イ. 処分庁が授益的処分の処分成立時からの瑕疵を理由に当該処分を取り消すためには、当該処分の名宛人に対する利益保護の観点から、その取消しを認める旨の法律上の明文の規定が必要である。
ウ. 処分庁から人工妊娠中絶を行うことができる医師に指定された開業医が当該指定処分後に虚偽の出生証明書を作成して罰金刑を受けたため、当該処分庁がこれを主な理由として当該指定処分を取り消す行為は、学問上の「職権取消し」に当たる。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×


正解:4

ポイント

イ:行政行為の職権取消しは、法律上の明文規定がなくても可能と解されている→×

ウ:本事案は「撤回」にあたる→×

第14問

行政手続法に関する次のアからエまでの各記述について、同法又は最高裁判所の判例に照らし、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからエの順に [No26]から[No29])

ア. 申請拒否処分については、理由の提示が義務付けられているが、これは行政庁の判断の恣意を抑制するとともに不服申立てに便宜を与えることを目的としているので、行政文書を開示しない決定の取消訴訟において、被告が当該決定の際に提示されていた処分理由とは異なる処分理由を追加して主張することが許されることはない。[No26]
イ. 不利益処分をしようとする場合の当該不利益処分の名宛人となるべき者についての弁明の機会の付与における弁明は、原則として、弁明書及び証拠書類等の提出並びに口頭での意見陳述により行われる。[No27]
ウ.許認可等を後発的事情を理由として取り消す処分は、新たな公益判断を伴うため聴聞の対象となるが、許認可等をその成立当初からの違法を理由として取り消す処分は、聴聞の対象とはならない。[No28]
エ. 意見公募手続を実施して命令等が定められた場合、当該命令等の公布と同時期に意見公募手続の結果も公示されなければならないが、その際には、意見公募手続の実施段階での命令等の案と公布された命令等との差異を含めて、提出意見を考慮した結果及びその理由が示されなければならない。[No29]


正解:2、2、2、1

ポイント

ア:「処分理由とは異なる処分理由を追加して主張することが許されることはない」わけではない→×

イ:弁明は、原則書面で行われる→×

ウ:「許認可等を取消す不利益処分をしようとするとき」には聴聞手続が必要→×

第15問

公立学校施設の管理者がした目的外使用の許否に係る裁量処分の司法審査に関する最高裁判所平成18年2月7日第三小法廷判決(民集60巻2号401頁。以下「本判決」という。)の次の判示を読み、本判決に関する後記アからウまでの各記述について、正しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No30])
「管理者の裁量判断は、許可申請に係る使用の日時、場所、目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度、代替施設確保の困難性など許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり、その裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である。」
ア.本判決による審査方法は、裁判所が裁量処分について、全面的にその当否を審査し直し、裁判所が出した結論と行政庁の処分内容とが異なる場合に、当該裁量処分が違法となると判断するもので、これにより密度の高い審査を行うことができるという特徴がある。
イ.本判決による審査方法については、いかなる判断要素を選択し、その評価をどのように行うのかという点に関し、基準が明確ではないという問題点が指摘できる。
ウ.本判決による審査方法によれば、従来の裁量処分の審査において用いられてきた平等原則や比例原則の観点は、裁量処分の審査に当たり考慮すべき要素にはならない。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×


正解:6

ポイント

ア:本件は判断代置方式と呼ばれ、社会観念審査の対極にある審査密度が高い審査方法と解されている→×

ウ:本判決による審査方法によっても平等原則・比例原則の観点は、考慮すべき要素となる→×

第16問

行政契約に関する次のアからウまでの各記述について、法令又は最高裁判所の判例に照らし、正しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No31])

ア.地方公共団体が売買や請負等の契約を締結する場合は、地方自治法上、指名競争入札、一般競争入札、随意契約及びせり売りの方法のうち、機会均等、公正性、透明性及び経済性(価格の有利性)を確保する見地から、指名競争入札の方法で行うことが原則である。
イ.地方自治法上の指定管理者の指定は、公の施設の設置目的を効果的に達成するため、公の施設の管理に民間手法を活用し、住民サービスの向上と施設管理における費用対効果の向上等を目的とするものであるから、委託契約の形式で行われる。
ウ.地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約は、当該契約を無効としなければ、随意契約の締結に制限を加える法令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効になる。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×


正解:7

ポイント

ア:一般競争入札が原則→×

イ:条例の定めるところにより「指定」の形式で行われる→×

第17問

行政上の義務の履行確保に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからエまでの【 】内の各記述について、法令又は最高裁判所の判例に照らし、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからエの順に[No32]から[No35])

教員:まず、行政主体が有する金銭債権に行政上の強制徴収の手段が法律で認められている場合、当該行政主体は、当該金銭債権に係る債務の履行を求める民事訴訟を提起することができますか。
学生:(ア)【金銭債権に行政上の強制徴収という簡易迅速な手段が認められている以上、その手段によることなく、当該金銭債権に係る債務の履行を求める民事訴訟を提起することは許されないものと解されます。】[No32]
教員:では、地方公共団体が、条例に基づく建築工事の中止命令に従わない者に対し、当該工事の続行禁止を求める民事訴訟を提起することはできますか。
学生:(イ)【建築工事の中止命令の不履行があったときにこれを強制的に履行させるための手段が当該条例に定められていない場合であれば、当該工事の続行禁止を求める民事訴訟を提起することは許されるものと解されます。】[No33]
教員:ところで、建築工事を中止すべき義務のような不作為義務は、行政代執行法による代執行の対象とはなりませんか。
学生:(ウ)【代執行の対象となる義務は代替的作為義務に限られますから、不作為義務が対象となることはありません。】[No34]
教員:代執行の要件について、行政代執行法ではどのように定められていますか。
学生:(エ)【義務者が義務を履行しないというだけでは足りず、他の手段によってその履行を確保することが困難であるか、又はその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められることが必要です。】[No35]


正解:1、2、1、2

ポイント

ア:判例によれば、農協が組合員に対して有する公法上の金銭債権について「行政上の強制徴収の手段を与えている以上、民訴法上の強制執行手段により、これらの債権の実現を図ることは許されない」→○

イ:宝塚市パチンコ店規制条例事件判決によれば「国又は地方公共団体が国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、法律に特別の規定がある場合に限り、提起することが許される」とある→×

エ:代執行の要件としては、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、「且つ」その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められることが必要である→×

第18問

行政機関の保有する情報の公開に関する法律に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No36])

ア.人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公にすることにより、法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものであっても、行政機関の長は、そのことを理由に当該情報を不開示とすることはできない。
イ.行政文書の開示請求に対する不開示決定を受けた開示請求者は、行政不服審査法に基づく不服申立てを行わずに、当該不開示決定につき、適法に取消訴訟を提起することはできない。
ウ.行政文書の開示請求は、当該行政文書を保有する行政機関の長に対して書面を提出して行わなければならず、当該書面には開示請求の理由及び目的を記載する必要がある。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×


正解:4

ポイント

イ:自由選択主義に基づき、不開示決定に不服がある場合、不服申立てを経ることなく、直ちに取消訴訟を提起することができる→×

ウ:開示請求の理由及び目的を記載する必要はない→×

第19問

原告適格に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例に照らし、正しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No37])

ア.森林法に基づく林地開発許可について、同法の規定は、開発区域周辺の土地の所有権等の財産権を個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むから、開発区域周辺の土地を所有する者は、当該許可の取消しを求める原告適格を有する。
イ.自転車競技法に基づく場外車券発売施設の設置許可については、同法の規定を受けて、学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設(以下、これらを併せて「医療施設等」という。)から相当の距離を有し、文教上又は保健衛生上著しい支障を来すおそれがないことを許可の基準として定めた同法施行規則の規定が、医療施設等の開設者が健全で静穏な環境の下で 円滑に業務を行うことのできる利益をその個別的利益として保護する趣旨をも含むと解することはできないから、医療施設等の開設者が、当該許可の取消しを求める原告適格を有することはない。
ウ.風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく風俗営業の許可については、同法の委任を受けて定められた政令が「住居が多数集合しており、住居以外の用途に供される土地が少ない地域」を条例で風俗営業の制限地域とすべき基準として定めており、住民が良好な風俗環境の中で生活する利益をその個別的利益として保護する趣旨を含むと解されるから、当該基準に従って規定された同法の施行条例が定める地域に居住する者は、当該許可の取消しを求める原告適格を有する。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×


正解:8

ポイント

ア:判例によると「所有権等の財産権を個々人の個別的利益として保護すべきと読み取ることは困難」としている→×

イ:判例によると「医療施設等を開設する者は、原告適格を有する」としている→×

ウ:風俗営業許可について、判例は「専ら公益保護の観点」「居住する住民の個別的利益を保護する趣旨を含まない」としている→×

第20問

抗告訴訟における判決に関する次のアからエまでの各記述について、法令又は最高裁判所の判例に照らし、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アか らエの順に[No38]から[No41])

ア.取消判決の第三者効を定めた行政事件訴訟法第32条第1項は、差止めの訴えにも準用されるから、Aが原告として提起したBの申請に対する許可処分の差止めの訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合、当該判決の効力は、Bにも及ぶ。[No38]
イ.処分を取り消す判決が確定した場合、その拘束力により、当該処分をした行政庁は、その事件につき当該判決の主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断に従って行動すべき義務を負う。[No39]
ウ.処分の取消しの訴えについて、裁判所が、当該処分は違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、当該処分を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認め、請求を棄却する判決をし、当該判決が確定したときは、当該処分が違法であるとの当該判決における判断について既判力は生じない。[No40]
エ.不作為の違法確認の訴えにおける当該不作為の違法性の判断は、事実審の口頭弁論終結時を基準にすべきである。[No41]


正解:2、1、2、1

ポイント

ア:行訴法32条1項は、差止めの訴えには準用されていない→×

ウ:事情判決が確定したときは、判決における判断について既判力が生じる→×

第21問

次のアからエまでの各記述について、法令又は最高裁判所の判例に照らし、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからエの順に[No42]から[No 45])

ア.土地収用法に基づく権利取得裁決がされた場合に従前の土地所有者が起業者を被告として提起する、当該裁決の無効を前提とする土地所有権の確認を求める訴えは、行政事件訴訟法(以下「法」という。)第4条の当事者訴訟のうち、「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」である。[No42]
イ.公立高等学校の教職員が提起する、校長の職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えは、当該職務命令の違反を理由とする行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする場合には、法第4条の当事者訴訟のうち、「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」である。[No43]
ウ.国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が提起する、衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙において選挙権を行使する権利を有することの確認を求める訴えは、公職選挙法上の選挙訴訟であって、法第5条の民衆訴訟である。[No44]
エ.地方公共団体の長が情報公開条例に基づいてした自衛隊庁舎の設計図面の公開決定に対して国が提起する、当該決定の取消しを求める訴えは、国が建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由とするものであっても、行政主体間の権限の行使に関する紛争に該当し、法第6条の機関訴訟である。[No45]


正解:2、1、2、2

ポイント

ア:本肢は「争点訴訟(行訴法45条)」にあたる→×

ウ:判例によれば、「実質的当事者訴訟(公法上の法律関係に関する確認の訴え)」である→×

エ:本肢は「法律上の争訟」にあたり、抗告訴訟といえる→×

第22問

行政事件訴訟法上の仮の救済に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからエまでの【 】内の各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は、アからエの順に[No46]から[No49])
教員:Aは、B市が設置した公の施設で集会を開催することを計画し、B市の条例に基づき、B市長に対して、当該施設の使用許可処分を求める旨の申請をしたところ、B市長は、当該申請に対して使用不許可処分をしました。Aとしては、予定する集会の日が近くなっていたため、一刻も早く当該施設を適法に使用できる状態にしたいのですが、司法上の救済の手段として考えられることは何かありますか。
学生:(ア)【裁判所に対して、B市長による当該申請に対する使用不許可処分につき、B市を被告とする取消訴訟を提起し、当該取消訴訟を本案訴訟として、当該施設の使用許可処分に係る仮の義務付けを申し立て、裁判所による仮の義務付けを認める決定を受けるという方法があります。】[No46]
教員:Aの当該施設の使用許可処分に係る仮の義務付けの申立てが認められるためには、損害や緊急性に関してどのような要件を満たす必要がありますか。
学生:(イ)【当該施設の使用許可処分がされないことにより生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときという要件を満たす必要があります。】[No47]
教員:仮に、集会の予定日が目前に迫っているとしましょう。裁判所としては、特に緊急を要し、意見を聴くいとまがないと認められるときには、B市の意見を聴くことなく、仮の義務付けを認める決定をすることはできますか。
学生:(ウ)【特に緊急を要するような事情があったとしても、裁判所が仮の義務付けを認める決定をするためには、B市の意見を聴かなければなりません。】[No48]
教員:それでは、裁判所により、当該施設の使用許可処分に係る仮の義務付けを認める決定がされた場合、その決定にはどのような効果がありますか。
学生:(エ)【暫定的なものではありますが、当該施設の使用許可処分を受けたことになります。】[No49]


正解:2、2、1、2

ポイント

ア:「仮の義務付け」の決定を受けるためには、①取消訴訟だけでなく②義務付けの訴えを併合提起しなければならない→×

イ:執行停止要件「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」よりも厳格な要件となっている→×

ウ:行訴法37条の5④、25条⑥より→○

エ:行訴法37条の5①では「裁判所は、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることができる」としている→×

第23問

国家賠償法第1条に関する次のアからエまでの各記述について、最高裁判所の判例に照らし、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからエの順に [No50]から[No53])

ア.国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合には、国会議員の立法不作為は、国家賠償法第1条第1項の適用上、違法の評価を受ける。[No50]
イ.国の公権力の行使に当たる複数の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生じさせた場合であっても、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができないときは、国が、国家賠償法第1条第1項による損害賠償責任を負うことはない。[No51]
ウ.国の公権力の行使に当たる複数の公務員が、その職務を行うについて、共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき、国がこれを賠償した場合においては、当該公務員らは、国に対し、当該違法行為に係る各公務員の責任割合に応じた分割債務として、国家賠償法第1条第2項による求償債務を負う。[No52]
エ.税務署長が所得税の更正において所得金額を過大に認定した場合において、当該税務署長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情があるときには、当該更正は、国家賠償法第1条第1項の適用上、違法の評価を受ける。[No53]


正解:1、2、2、1

ポイント

イ:判例によると「公務員の違法行為を具体的に特定できない場合も、国又は公共団体は、加害行為不特定の故をもって国家賠償法又は民法上の損害賠償責任を免れることができない」としている→×

ウ:判例によると本肢の場合「公務員らは、国又は公共団体に対し、連帯して国賠1条2項による求償債務を負う」としている→×

第24問

行政不服審査法(以下「法」という。)に関する次のアからウまでの各記述について、法又は最高裁判所の判例に照らし、正しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No54])

ア.審査請求の対象である処分には事実上の行為が含まれ、処分である事実上の行為が違法又は不当であり、当該処分である事実上の行為に対する審査請求に理由がある場合には、処分庁の上級行政庁である審査庁は、裁決で、当該処分である事実上の行為の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。
イ.法第7条第2項に規定する「固有の資格」とは、一般私人とは異なり、国の機関等であるからこそ立ち得る特有の立場をいい、その資格の有無は、処分に係る事務又は事業の実施主体が国の機関等に限られているか否か、また、限られていない場合であっても当該事務又は事業を実施し得る地位の取得について、国の機関等が一般私人に優先するなど特別に取り扱われてい るか否か等を考慮して判断すべきものである。
ウ.法は、処分に関する不服申立てについて、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、法の定めるところによると規定しているから、条例に基づく処分に対する不服申立てに関し、条例による特別の定めを設けることを認めていない。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×


正解:6

ポイント

ア:行審法47条柱書より、処分庁以外の審査長は「当該処分庁に対し、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すべき旨を命ずること」とされている→×

ウ:行審法4条柱書より本法では、条例に基づく処分に対する不服申立てに関して、条例による特別の定めを設けることを認めている→×

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