第1問
意思能力に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No1])
ア.意思能力とは、自己の行為の責任を弁識する能力をいう。
イ.契約の当事者がその意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その契約の無効を善意無過失の第三者にも対抗することができる。
ウ.契約の当事者がその意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合において、その契約に基づく債務の履行として給付を受けたときは、現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
エ.契約の申込者が申込みの通知を発した後に意思能力を有しない常況にある者となった場合において、その相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。
オ.婚姻の当事者が婚姻届を作成した時に意思能力を有しないことは、婚姻の取消しの原因となる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
正解:2
ポイント
ア:意思能力は、「自己の行為の結果を弁識するに足るだけの精神能力」のこと。「自己の行為の責任を弁識する能力」は責任能力である→×
イ:3条の2には第三者を保護する規定がない→○
ウ:121条の2 3項前段「現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う」→○
エ:526条より→○
オ:婚姻する意思がない場合は「無効」となる(742柱書)→×
第2問
条件に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No2])
ア.AがBとの間で、Bが一定期間窃盗をしなかったら10万円をBに与える旨の贈与契約を締結した場合において、その期間窃盗をしなかったBがAに10万円の支払を請求したときは、Aは、これを拒むことができる。
イ.停止条件付きの動産の贈与契約が締結された場合において、贈与者が信義則に反し故意にその条件の成就を妨げたときは、受贈者は、動産の引渡しを請求することができる。
ウ.互いに同種の目的を有する債務を負担している者の間で、一定の事由が発生したら意思表示を待たずに当然に相殺の効力が生ずる旨の合意をしたとしても、相殺の効力は、その事由の発生によって当然には生じない。
エ.AがBとの間で、Bが甲大学に合格したらAの所有する動産乙をBに与える旨の贈与契約を締結した後、合否未定の間にAが乙を過失により損傷した場合には、Bが甲大学に合格しても、Aは、Bに対し、損害賠償義務を負わない。
オ.AがBとの間で、Aの気が向いたらBに10万円を与える旨の贈与契約を締結した場合において、BがAに10万円の支払を請求したときは、Aは、これを拒むことができない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
正解:1
ポイント
ア:「不法な行為をしないことを条件とする法律行為は無効(132条後段)」→○
イ:130条1項(条件の成就の妨害等)→○
ウ:506条1項後段は法定相殺に関する規定であり、合意に基づく相殺(相殺契約)においては、公序良俗に反しない限り、適用されない→×
エ:128条(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)より→×
オ:134条(随意条件)より→×
第3問
不動産を目的とする権利変動の対抗に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No3])
ア.竹木所有のための地上権を時効取得した者は、登記をしなくても、その後にその地上権の目的土地を購入しその旨の登記をした者に地上権の取得を対抗することができる。
イ.承役地について地役権設定登記がされている場合において、要役地が譲渡されたときは、譲受人は、要役地の所有権移転登記があれば、第三者に地役権の移転を対抗することができる。
ウ.一般先取特権は、不動産についてその登記がされていなくても、当該不動産上に存する登記がされた抵当権に優先する。
エ.引渡しにより対抗要件を具備した建物の賃貸借につき、その引渡し前に登記をした抵当権を有する全ての者が同意をしたときは、賃借人は、抵当権の実行により当該建物を買い受けた者に賃借権の設定を対抗することができる。
オ.永小作権を目的として抵当権を設定した永小作人は、その永小作権を放棄したとしても、その放棄をもって抵当権者に対抗することができない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
正解:4
ポイント
ア:時効取得者は、時効完成後の第三者に対して、登記がなければ対抗できない(大連判大14.7.8)→×
イ:地役権の随伴性より、「要役地の所有権移転について登記があれば、承役地の所有者及び包括承継人、第三者に対し地役権を対抗し得る(大判大13.3.17)」→○
ウ:336条(一般の先取特権の対抗力)より→×
エ:387条(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)の要件中の「登記をした賃貸借」「同意についての登記」を満たしていない→×
オ:抵当権設定者が権利を放棄し、抵当権者を害することは許されないため→○
第4問
相隣関係に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No4])
ア.土地の所有者が、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用するには、その所有者の同意を得なければならない。
イ.土地の所有者は、雨水が隣地に直接注ぐ構造の工作物を設けてはならない。
ウ.土地の所有者は、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その竹木の所有者の同意を得なければ、その根を切り取ることができない。
エ.境界標の設置の費用は、相隣者が土地の広狭に応じて分担する。
オ.土地の所有者がその境界付近に存する建物を修繕するため必要な範囲内で隣地を使用する場合、隣地の所有者は、それにより損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ
正解:4
ポイント
ア:221条(通水用工作物の使用)では「同意を得る必要はない」→×
イ:218条(雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止)より→○
ウ:233条4項(竹木の枝の切除及び根の切取り)より切り取り可能→×
エ:224条(境界標の設置及び保存の費用)では「広狭に応じて分担する」のは「測量の費用」であるため→×
オ:209条4項(隣地の使用)より→○
第5問
用益物権に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No5])
ア.地上権設定契約において地上権の譲渡を禁止する旨が合意された場合であっても、地上権の譲渡は、その効力を妨げられない。
イ.法定地上権を取得した者は、その地上権の目的である土地の所有者に対して地代を支払うことを要しない。
ウ.無償の永小作権は、設定することができない。
エ.地役権は、存続期間を定めないで設定することができる。
オ.入会権の行使を妨害する者に対する妨害排除請求権の行使は、別段の慣習がない限り、入会団体の構成員の全員でしなければならない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
正解:
ポイント
ア:地上権設定契約において、譲渡禁止特約も有効であるが、特約の登記が認められないため、第三者には対抗できないとされている→○
イ:388条「法定地上権が設定された場合、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。」→×
ウ:270条「永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。」→○
エ:民法上、地役権の存続規定はない→○
オ:判例(最判昭57.7.1)より「入会権者は、各自が単独で、自己の使用収益権に基づき、妨害排除請求権を行使することができる」→×
第6問
根抵当権に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No6])
ア.元本確定期日を定めなかった場合でも、根抵当権の設定は有効である。
イ.元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、根抵当権を譲渡することができる。
ウ.元本の確定前に根抵当権者から被担保債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。
エ.元本の確定前にする根抵当権の被担保債権の範囲の変更は、後順位抵当権者の承諾を得なければ、することができない。
オ.元本が確定した後は、根抵当権によって担保される利息や損害金は、通算して最後の2年分に限定される。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
正解:5
ポイント
ア:398条の6Ⅰ「根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる」→○
イ:398条の12Ⅰ「元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる」→○
ウ:398条の7Ⅰ前段「元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない」→○
エ:398条の4Ⅰ前段「元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる」→×
オ:根抵当権には、375条(抵当権の被担保債権の範囲)のような被担保債権の範囲を限定する規定はない→×
第7問
不動産の譲渡担保に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No7])
ア.設定者は、被担保債権について不履行があった後は、譲渡担保権者に対し、受戻権を放棄することにより、清算金の支払を請求することができる。
イ.被担保債権について不履行があった後、譲渡担保権者の債権者が目的物を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、その後に被担保債権を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができない。
ウ.設定者は、被担保債権が弁済されない限り、正当な権原なく目的物を占有する者に対し、その明渡しを請求することができない。
エ.被担保債権について不履行があった後、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的物を譲渡したときは、設定者は、譲受人からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができない。
オ.譲渡担保権者は、被担保債権について不履行があったときは、設定者との間で帰属清算の合意がされていたとしても、目的物を処分する権限を取得する。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ
正解:4
ポイント
ア:判例(最判平8.11.22)より「清算金の支払を請求することができない」→×
イ:判例(最判平18.10.20)より→○
ウ:判例(最判昭57.9.28)より「正当な権限なく目的物権を占有する者がある場合には、特段の事情のない限り、設定者は、譲渡担保の趣旨及び効力に鑑み、占有者に対してその返還を請求することができる」→×
エ:判例(最判平9.4.11)より「譲渡担保設定者は、第三者又は同人から更に不動産の譲渡を受けた者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができる」→×
オ:判例(最判平6.2.22)より→○
第8問
履行遅滞に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No8])
ア.取立債務の履行について確定期限がある場合には、債権者が取立行為をしないときであっても、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
イ.債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来を知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
ウ.返還時期の定めがない消費貸借において、貸主が相当の期間を定めないで催告をしたときは、借主は、その催告後相当の期間を経過した時から遅滞の責任を負う。
エ.債権者が受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴えにおいて受領金の返還を請求したときは、その受領金の返還債務は、その請求を認容する判決の確定時に遅滞に陥る。
オ.不法行為に基づく損害賠償債務は、催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥る。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
正解:2
ポイント
ア:取立債務は、期限が到来しても債権者が取立行為をしない限り、債務者は遅滞の責任を負わない→×
イ:412条2項「債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。」→○
ウ:判例(大判昭5.1.29)より「催告後、相当の期間が経過した時から、借主は遅滞の責任を負う」→○
エ:412条3項「履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う」とあり、判例(最判平30.12.14)は「詐害行為取消判決の確定前にされた履行の請求も「履行の請求」にあたり、これを受けた時に遅滞に陥る」→×
オ:判例(最判昭37.9.4)より「不法行為に基づく損害賠償債務は、何ら催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥る」→○
第9問
AのBに対する金銭債権(以下「甲債権」という。)とBのAに対する金銭債権(以下「乙債権」という。)との相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No9])
ア.甲債権が売買代金債権であり、乙債権がBの所有するパソコンをAが過失によって損傷したことによる不法行為に基づく損害賠償債権であったときは、Aは、相殺をもってBに対抗することができる。
イ.AがBのCに対する債務をBの委託を受けて保証していた場合において、Bの債権者Dが売買代金債権である乙債権を差し押さえた後、AがCに対する保証債務を履行し、求償権である甲債権を取得したときは、Aは、相殺をもってDに対抗することができる。
ウ.甲債権がAB間のパソコンの売買に基づく売買代金債権であったときは、Aは、Bに対してパソコンの引渡しの提供をしていなくても、乙債権との相殺をもってBに対抗することができる。
エ.甲債権と乙債権とが相殺適状となった後に甲債権が時効によって消滅した場合において、その後、BがAに対して乙債権の履行を請求したときは、Aは、相殺をもってBに対抗することができる。
オ.甲債権について弁済期が到来していなくても、乙債権について弁済期が到来していれば、Aは、相殺をもってBに対抗することができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
正解:4
ポイント
ア:509条では「悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務」「人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務」の相殺をもって対抗することができないとしているが、本肢はいずれにも該当しないため→○
イ:511条2項「差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。」とあり→○
ウ:判例(最判昭32.2.22)によると「自働債権に同時履行の抗弁(533)や催告・検索の抗弁権(452、453)などが付着している場合、相殺はできない」→×
エ:508条「時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる」とあり→○
オ:505条1項より「双方の債務が弁済期にあるとき」が必要であり、判例(最判平25.2.28)でも「自働債権と受働債権の双方について、弁済期が現実に到来していることが必要」とあるため→×
第10問
契約の解除に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No10])
ア.債務者が債務の履行をせず、債権者が期間を定めないでその履行の催告をした場合において、その催告の時から相当の期間を経過しても債務が履行されないときは、債権者は、契約を解除することができる。
イ.債務者が債務の履行をしない場合において、その不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、債権者は、契約を解除することができない。
ウ.債務者が債務の履行をせず、債権者が催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかなときは、債権者は、催告をせずに直ちに契約を解除することができる。
エ.AB間で締結された契約に基づき発生したAのBに対する債権甲をAがCに譲渡し、債務者対抗要件が具備された場合において、その後、BがAの債務不履行により当該契約を解除したときは、Cは、Bに対し、甲の履行を請求することができる。
オ.賃借人が死亡し、複数の相続人が賃借権を共同相続した場合、賃貸人が賃貸借契約を解除するには、その相続人全員に対して解除の意思表示をしなければならない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
正解:3
ポイント
ア:541条より→○
イ:541条の解除の要件に債務者の帰責事由の存在は不要である→×
ウ:542条1項5号「債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき」→○
エ:468条1項の趣旨より、本肢の場合、CはBに対し甲の履行を請求しても、BはCに対して契約の解除による債権の消滅を対抗することができる→×
オ:544条1項「当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる」→○
第11問
売買契約に基づき買主Aが売主Bから引渡しを受けた動産甲の品質が契約の内容に適合しないものである場合に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、 後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No11])
ア.Bは、Aから甲の修補の請求を受けた場合であっても、Aに不相当な負担を課するものでないときは、代替物の引渡しによる履行の追完をすることができる。
イ.不適合が追完不能であるためにAのBに対する履行の追完の請求が認められないときは、Aは、Bに対し、代金の減額を請求することができない。
ウ.不適合がAの責めに帰すべき事由によるものであるときは、Aは、Bに対し、甲の修補と代金の減額のいずれの請求もすることができない。
エ.不適合がAB双方の責めに帰することができない事由によるものであるときは、Aは、Bに対し、代金の減額を請求することができない。
オ.Bが引渡し時に不適合を過失なく知らなかった場合において、Aが不適合を知った時から法定の期間内にその旨をBに通知しなかったときは、Aは、Bに対し、損害賠償を請求すること ができない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
正解:3
ポイント
ア:562条より→○
イ:563条より→×
ウ:562条2項、563条3項より→○
エ:563条「買主の代金減額請求権」は、不適合が双方の責めに帰することができない事由によるものであっても代金の減額を請求することができる→×
オ:→○
第12問
民法上の組合に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No12])
ア.組合契約の出資は、金銭をその目的とするものに限られない。
イ.組合員は、組合の債権者に対し、各自の固有財産をもって債務の全部を履行する責任を負う。
ウ.各組合員は、組合の業務の決定及び執行をする権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる。
エ.組合の業務執行者は、組合員の中から選ばなければならない。
オ.組合契約において、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の約定がされた場合、その約定は無効である。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
正解:4
ポイント
ア:組合契約の出資は、金銭・動産・不動産などの他、労務を目的とすることも可→○
イ:675Ⅱ「組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる」とあり→×
ウ:各組合員は、組合の業務の決定及び執行をする権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる(673)→○
エ:第三者を業務執行者とすることもできる(670Ⅱ)→×
オ:678Ⅰただし書、Ⅱより→○
第13問
不法行為に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No13])
ア.不法行為の被害者は、不法行為に起因する後遺障害による逸失利益について、定期金による賠償を求めることができない。
イ.被用者が使用者の事業の執行について重大な過失により失火して第三者に損害を加えた場合には、使用者は、被用者の選任監督について重大な過失があるときに限り、損害賠償の責任を負う。
ウ.被用者が、使用者の事業の執行について第三者に損害を加えた場合において、その損害を賠償したときは、被用者は、使用者に対して求償権を行使することができない。
エ.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じた場合において、その工作物の占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、その工作物の所有者が損害賠償の責任を負う。
オ.損害賠償の額を定めるに当たり、被害を受けた未成年者の過失を考慮するためには、その未成年者に事理を弁識するに足りる知能が備わっていれば足りる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
正解:5
ポイント
ア:判例(最判令2.7.9)は「同逸失利益は定期預金の賠償の対象となる」としている→×
イ:判例(最判昭42.6.30)は「被用者の選任監督について重大な過失がなくとも、被用者に重大な過失がある限り、損害賠償の責任を負う」としている→×
ウ:判例(最判令2.2.28)は肢の場合について「求償することができる」としている→×
エ:717条1項ただし書「ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」→○
オ:判例(最大判昭39.6.24)によれば「過失相殺は、事理弁識能力があれば足りる」としている→○
第14問
離婚に伴う財産分与に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No14])
ア.裁判所は、離婚をした者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付を含めて、財産分与の額及び方法を定めることができる。
イ.離婚に伴う財産分与請求権の具体的内容が協議によって形成された後は、これを被保全債権とする債権者代位権の行使が認められる。
ウ.内縁の妻Aの死亡により内縁の夫Bとの内縁関係が解消した場合には、Bは、離婚に伴う財産分与の規定の類推適用により、Aの相続人に対して財産分与を請求することができる。
エ.協議上の離婚をした者の一方は、相手方が離婚につき有責でない場合であっても、財産分与を請求することができる。
オ.離婚した当事者の協議により合意された財産分与は、不相当に過大であっても、詐害行為として取り消されることはない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
正解:5
ポイント
ア:判例(最判昭53.11.14)のとおり→○
イ:肢のとおり→○
ウ:判例(最判平12.3.10)によれば「肢のような場合に、768条の規定を類推適用することはできない」としている→×
エ:768Ⅰより「相手方に対して財産の分与を請求することができる」とある→○
オ:判例(最判平12.3.9)によれば「不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべき」としている→×
第15問
相続の承認及び放棄に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No15])
ア.他の共同相続人に強迫されて相続の放棄をした者が相続の放棄の取消しをしようとするときは、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
イ.相続人は、相続の承認又は放棄をするまでの間、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。
ウ.相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、善良な管理者の注意をもって、その財産を管理しなければならない。
エ.相続人Aが相続の放棄をしたことにより相続人となったBが相続の承認をした場合には、Aは、その後に相続財産の一部を私に消費したとしても、単純承認をしたものとはみなされない。
オ.限定承認者は、受遺者に弁済した後でなければ、相続債権者に弁済することができない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
正解:4
ポイント
ア:919Ⅳ「相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない」→○
イ:918「固有財産におけるのと同一の注意をもって」→○
ウ:940「自己の財産におけるのと同一の注意」であり、善管注意義務ではないため→×
エ:921Ⅲの規定により→○
オ:931「限定承認者は、各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済することができない→×